
アガサ・クリスティ氏の名前を聞いたことがない読書家はいないでしょう。
そんな彼女の代表作ともいうべき不朽の名作『アクロイド殺害事件』。
意外かも知れませんが、本作はミステリー小説初心者の方にもおすすめできる作品です。
名作と言われると重厚な物語のイメージがあると思いますが、『アクロイド殺害事件』はスムーズに物語に入れます。
特筆すべきは、登場人物が少ない点。キャラクターが多い名作たちを読むためにも、本作からミステリー小説のドアを叩いてはいかがでしょうか。
また、わずかなネタバレも厳禁な物語です。
「読みたい!」と思った方は本作が名作である理由すら調べてはいけません。
後悔しますよ!
(私は後悔しました……)
あらすじ
平穏な田舎町キングズ・アボットで、資産家ロジャー・アクロイドが殺害される。
その前夜、彼は愛する女性から重大な秘密を打ち明けられたばかりだった——。
地元の医師である語り手の「私」は、偶然隣人として越してきた名探偵エルキュール・ポアロと共に事件の真相を追うことになる。
登場人物は皆どこか秘密を抱えており、殺人犯人を特定するのは至難の業。
静かな村に渦巻く企みを、ポアロたちは看破できるのか——。
感想
少しの違和感すら見逃さないポアロの慧眼
“名探偵”と称される彼の観察眼は常軌を逸しています。
「これは事件と関係があるのですか?」と登場人物たちが疑問を呈する場面が何度もありますが、すべては伏線。
「なぜポアロがその謎を重要視するのか」
を考えれば、もしかしたら、あなたも殺人犯人を特定できるかもしれません。
イギリス的ユーモアと皮肉
著者・アガサ・クリスティ氏はイギリス人。
イギリスといえば皮肉を言う文化がありますが、それが本作でも存分に発揮されます。
皮肉の効いた会話を交わす登場人物たち。
ウィットに富んだ嫌味を言い合ったかと思えば、何事もなかったかのように会話が続く。
日本の文化では触れられない、そんな登場人物たちの舌戦(?)も面白さの一つです。
ポアロという人物の深み
名探偵といえばどんな人物像を想像するでしょうか。
もちろん、ポアロも兼ね備えています。しかし、それらに加えて
彼には言うなれば、普通の人っぽさがあります。感情を露わにする感じだったり、得意満面な部分があったり。
名探偵とは一見すると近寄り難さがありますが、本作を読めば彼の印象が少し変わるかもしれません。
と言っても、常人のような振る舞いも彼の手の内かもしれませんが……。
おわりに
『アクロイド殺害事件』は、ミステリーというジャンルの奥深さと、読者を翻弄する巧みな構成を味わえる傑作です。
本記事を読んで興味を持たれた方は、これ以上の検索や解説記事の閲覧は厳禁。
この物語は何も知らずに読むことこそが最高の楽しみ方です。
ぜひ、ご自身の目で“なぜ名作と呼ばれるのか”を確かめてください。
ミステリー度
没 入 感
キャラの魅力
総 合 評 価