『あまからカルテット』は、仲良しな4人の女性が織りなす心温まる群像劇。
各話で主となる人物は変わり、全員が主人公の本作。「あまから」のタイトルの通り、彼女たちは人生の「甘さと辛さ」を味わいます。
そんな中、料理を通して成長していく彼女たち。
紆余曲折があっても変わらない4人の関係性に、心打たれます。
ストーリーの面白さ
文章の美しさ
おいしさ
総 合 評 価
こんな人にオススメ!
群像劇が好きな方
恋愛に、仕事に奮闘する女性が描かれる本作。
打ちひしがれる時もありますが、しっかりと立って歩く姿、助け合う姿に感動しない方はいないでしょう。
食べることが好きな方
なんと言っても、本作の一番の魅力です!
物語にたくさん現れる料理たちがお団子の串のように、彼女たちやその周りの人たちをつなげます。
その文章表現のなんと豊かなことか!
本書を読むだけで、“味覚”に目を向けることができ、普段の食事がさらに美味しく食べられます。
感想
料理×人間ドラマ
お稲荷さんから始まり、甘食などのお菓子、アールグレイやラー油までなんでも出てきます。
食べ物が彼女たちに出会いと別れを運んでくる味わい深い物語です。
私は基本的に夕飯の後に読書をするのですが、美味しそうな料理の表現にお腹が空いてしまいました。
しかし、彼女たちの恋や仕事に悩みながらも成長する姿に胸はいっぱい。いつの間にか、空腹を忘れて没頭していました。
五感に響く表現力!
美味しそうな食べ物が出てくる中、私が喉を鳴らしたのはハイボールの表現です。
本作の第3話「胸騒ぎのハイボール」に出てきて、視覚・音・味を文章で巧みに表されます。
表現と言っても「味の宝石箱」など婉曲的なものではなく、どストレートに伝わってくる言葉の数々。
頭の中で思い浮かべやすいその表現に、今すぐにでもハイボールを飲みたくなってしまいます。
おわりに
4人の女性と料理が紡ぐ、甘くて、ちょっと辛い物語。
甘すぎず、辛すぎないストーリーは、心落ち着きたい読書にぴったりです。
料理がたくさん出てくるので、夜中には読まない方が良いかもしれないけれど。
心温まる群像劇が好きな方、食べることが大好きな方に、ぜひ読んでほしい作品です!
