【迫力満点の時代小説】『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』(今村翔吾著)− 江戸の粋な火消の物語をレビュー(ネタバレなし)

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消防士が主役の物語に触れたことはありますか?
映画では『バックドラフト』(ロン・ハワード監督)、漫画では『め組の大吾』(曽田正人作)が有名どころでしょうか。

本作は、江戸の火消が主人公です。消防の仕事をクローズアップする作品は数あれど、江戸時代の火消を題材にした小説ともなると、そう多くはありません。


命懸けで江戸の人々、街並みを守るために奮闘する物語に、あなたも手に汗握ること間違いなし!

臨 場 感    [star rate=”5″ max=”5″ number=”1″]
文章の美しさ   [star rate=”4″ max=”5″ number=”1″]
読みやすさ    [star rate=”2″ max=”5″ number=”1″]
総 合 評 価  [star rate=”4″ max=”5″ number=”1″]


目次

こんな人にオススメ!

仕事に奮闘する物語が好きな方

現代ドラマでも数多くの仕事奮闘物語がありますね。
本作もそれらと同じかそれ以上の熱量で、命懸けで火災と対峙する男たちが描かれます。

時代小説が好きな方

江戸が舞台の小説ですので、当時の火消しの文化や消防活動をリアルに描いています。
また、伝法口調のやり取りも多く、江戸の風情を感じながらテンポの良い会話も魅力の一つです。

あらすじ

かつて、江戸の火消の中でも随一と称され、“火喰鳥”の異名を持つ者がいた。その名は、松永源吾。
数々の火事場を潜り抜けた源吾だったが、とある火事をきっかけに引退。妻・深雪とともに貧乏浪人生活を送っていた。

そんな彼のもとへ、戸沢家家臣・折下左門が訪れる。「壊滅した藩の火消組織を再建してほしい」と仕官の打診に来たのだ。「火消には戻らぬ」と決めていた源吾であったが、「現場に出ずともよい」ことから承諾する。

源吾が火事場を忌避する理由とはなんなのか。波乱万丈の火消組織の再建が始まる——。

感想

粋な登場人物たち

江戸の人々といえば、義理人情に厚く、粋でいなせなイメージだと思います。
例に漏れず、本作の登場人物たちもそうです。

主人公・源吾は、プロローグの火事場から魅せてくれます。
救助を待つ人がいる。炎に包まれる店へと飛び込もうとする源吾を、偶然居合わせた左門が止めます。
「人がみすみす命を落とさんとするのを黙って見ておれるか!」
「俺もそうさ」

……カッコ良すぎませんか?

妻・深雪も魅力的なキャラクターです。最序盤で折下左門が源吾を勧誘する際の小気味良い会話や、口入れ屋(今でいう人材派遣会社)とのやりとりで繰り出される舌鋒。これらの場面で魅了されない読者はいないでしょう。

その後も次々と出てくる魅力的なキャラクターたち。
「あ、この人が最推しになるな」と思っても、新しい人物が出てくるたびにその気持ちが更新されます。

緊迫の火災現場

本作の一番の見どころは、なんと言ってもリアルな火災描写にあります。
薫る黒煙、迫る火焔。火の恐怖がありありと伝わる描写は、臨場感抜群です。

そして、その恐怖に抗い、命を賭けて火と戦う源吾たち。 彼らの勇姿に、思わず手に汗を握ることでしょう。

おわりに

火消しという過酷な職務を通して、江戸の熱い男たちの生き様を描いた本作。

時代小説特有の言葉も多いため、熟読するには時間がかかる方もいるかと思いますが、
それ以上に、迫力ある描写は読み応え抜群!!

ぜひ、ご一読ください!

2025年にはコミカライズ、2026年でアニメ化も決まっています。
非常に楽しみですね!

https://hikuidori-project.com/

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この記事を書いた人

ソウイヌ管理人

創作と犬が大好き
よく読み、よく観て、
よく撫で回すがモットー

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