
本書の舞台は明治時代。剣などを用いた戦闘は過去となり、銃が戦場を支配しつつありました。そんな中、武士たちの最後の光芒ともいえる死闘が繰り広げられます。
少年漫画バリの熱い展開、魅力あるキャラクターたちが繰り広げる物語に、あなたも夢中になること間違いなしです!
戦 闘 描 写
文章の美しさ
読みやすさ
総 合 評 価
こんな人にオススメ!
圧倒的な戦闘描写を楽しみたい方!
本書は一対一だけでなく、多人数戦や逃走戦など多彩な戦闘が描かれています。臨場感あふれる描写が、あなたを一瞬で『イクサガミ』の世界へ連れていってくれます。
ただ、時代小説を読み慣れていない方は、読了までに時間がかかりそうです。
あらすじ
明治11年。「豊国新聞」という無名の新聞社が、奇妙な告知を掲載した。
——武技に優れたる者。京都天龍寺境内に参集せよ。金十万円を得る機会を与える。
訝しみながらも、大金を求めて人が集まった。
剣客・嵯峨愁二郎もそのひとり。病に伏せる妻と子のために、大金が必要なのであった。
天龍寺にて銘々に点数が配られ、「点数を奪い合いながら東京を目指せ」と指示が下る。
そうして、死屍累々の死闘が幕を開けた。
阿鼻叫喚の中、愁二郎は12歳ほどの娘・双葉を助け、行動をともにしていく。
愁二郎は強敵たちと対峙し、双葉を守り抜けるのか。妻と子を救うことはできるのか——。
感想
激闘の描写の巧みさ
脳裏に浮かぶような戦闘描写が、私が感じる本書の一番の魅力です。端的に描写されつつも、決してぬかりない。その文章の巧みさ自体が美しくもあります。
また、戦闘ごとに異なる武器や流派が登場し、違った色を魅せてくれます。鮮やかな戦闘描写に、あなたは時間を忘れるほど物語にのめり込むことでしょう!
2025年11月にはNetflixで映画化も予定されています。映像化されたバトルシーンがどのように描かれるのか、今から期待が高まりますね!
超魅力的な人物たち
登場する剣客たちは非常に個性豊か。明治時代を生きる最後の武士たちが、互いに信念を持って戦います。
弱者を助ける者、強者を求める者など登場人物全員が魅力的です。各人がこの戦いに参加した背景も語られるので「全員勝ってくれ!」と願わずにはいられません。
物語を彩る奥深い設定
愁二郎は「京八流」という剣術を使うのですが、そのルーツが読みごたえ抜群。
彼には7人の義兄弟がいて、それぞれが異なる奥義を持つ——この設定が、物語にさらなる奥行きを加えます。
また、奥義による戦闘は鮮烈な剣撃の描写となり、より深く物語に入り込むことができます。
おわりに
明治時代、最後の武士たちが信念と誇りを懸けて戦う生き様は圧巻の一言。
それぞれが戦いに至る背景も丁寧に語られるので、登場人物へ感情移入できること間違いなし。
あなたが心惹かれるのはどのキャラクターになるでしょうか?
剣戟バトルが好きな方はもちろん、歴史小説に興味がある方にも強くおすすめできる一冊。映画公開を前に、ぜひこの熱き戦いを体験してみてください!
noteにて、ネタバレありの感想を掲載していますので、よろしければそちらもどうぞ。
