【奇妙な語り部が紡ぐ】『夏と花火と私の死体』(乙一著)— 異質で不気味な物語をご紹介(ネタバレなし)

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今回は、乙一さんのデビュー作『夏と花火と私の死体』をご紹介します。

本書はそのタイトルからも感じられる通り、ひと夏の出来事を描きながらも、どこか不穏で異質な雰囲気を漂わせます。9歳の少女が死者となってもなお、語り手となることで生まれる独特の視点が、読者を不思議な世界へと引き込みます。

※ネタバレありの感想や深掘りは、noteにて詳しく語っています。
読後の方は、そちらを読んでいただけると幸いです!

ミステリー度   [star rate=”4″ max=”5″ number=”1″]
意 外 性    [star rate=”5″ max=”5″ number=”1″]
文章の美しさ   [star rate=”3″ max=”5″ number=”1″]
総 合 評 価  [star rate=”3.5″ max=”5″ number=”1″]

目次

こんな人にオススメ!

分かりやすい文章の小説を読みたい人

本書は難しい言葉や凝った比喩表現を多用せず、シンプルな文章で綴られています。そのため、小説を普段読まない人でもスッと物語に入り込めるでしょう。

活字に慣れたい人

主人公が9歳の少女であるため、文章の切り口が柔らかく、親しみやすいのが特徴です。本を読む習慣をつけたい人には、ちょうど良い一冊かもしれません。

あらすじ

9歳の夏休み、「わたし」は殺された。幼い、無邪気な友人・弥生の手によって。

弥生は兄・健とともに「わたし」の死体を隠そうと試みるが、幼い2人にとって容易ではなく、大人たちに何度もバレそうになってしまう。大人に「わたし」の死体が発見されることを恐れた2人は、とある絶対に見つからない場所へ「わたし」を運び込もうとするが——。

感想(ネタバレなし)

死者の視点から語られる異質な物語

本書最大の特徴は、「わたし」= 死んでしまった少女 の視点で語られること。
彼女は自分の死体がどのように扱われ、どこへ運ばれていくのかを、まるでその場に「生きている」かのように話します。

いるはずのない死者が語る物語は、不思議な空気をまとい、読者の背筋をぞわぞわと撫でていきます。

幼い殺人者の葛藤

殺人を犯した弥生は、まだ幼い少女。
彼女は単なる冷酷な加害者ではなく、自分の犯した罪、バレるかもしれない恐怖、そして幼いながらも心の奥底にある後悔と向き合います。

その心理描写が痛々しく、読者の心に哀れみの心を抱かせることが本書の魅力の一つです。

おわりに

本書は短めの作品ですが、その分、表現などが簡潔明瞭で一気に読み終えることができます。
異質な世界観と、独特の語り口が織りなす不思議な物語。

「ちょっと変わった小説を読みたい」 という方には、ぜひおすすめしたい一冊です。

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この記事を書いた人

ソウイヌ管理人

創作と犬が大好き
よく読み、よく観て、
よく撫で回すがモットー

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