こんにちは、式部です。
今回は、連城三紀彦著『夜よ鼠たちのために』をご紹介します。
本書には短編の推理小説が「9話」収録されており、
各作品がとてもハイクオリティで、読後感も良い話ばかりです。
私が本書を手に取った理由は、何と言っても、このタイトルに惹かれたからです。
・「夜」という言葉が持つ、暗さと儚さ
・鼠たち、とはどういう意味を持つのか
この2つの要素が、私の興味を心の底からかき立てました。
あらすじ
本書は短編集ですが、あらすじは以下のとおりです。
脅迫電話に呼び出された医師とその娘婿が、白衣を着せられ、首に針金を巻きつけられた奇妙な姿で遺体となって発見された。なぜこんな姿で殺されたのか、犯人の目的は一体なんなのか……。深い情念と、超絶技巧。意外な真相が胸を打つ、サスペンス・ミステリーの傑作9編を収録。『このミステリーがすごい!2014年版』の「復刊希望!幻の名作ベストテン」にて1位に輝いた、幻の名作がついに復刊!
(本書裏表紙より引用)
感想
ミステリー小説の初心者におすすめ!
本書は短編集ですので、各話で「なぜ」「どうして」「誰が」などの疑問がすぐに解消されていきます。
「じっくり長編で謎を楽しみたい」という方には向かないかもしれません。
ですが、私のように、「結末が気になって仕方がない!」というタイプだったり、
「ミステリーはあまり読んだことない」方は、
本書のような短編集が良いのかなと思います。
ファンタジー小説やSF小説などは、ラストに至るまでの過程がとても楽しめるのですが、どうにも、推理小説は、ハラハラドキドキしてしまって、読んでて落ち着きません。
といっても、その緊張感を求めて、手に取ってしまう私なのですが……(笑)。
美しい表現
夜のネオンや蝶が舞う描写などの表現が美しく繊細で、
情景が目に浮かぶような文章が随所にあります。
文章の回りくどさが一切なく、さらに、一つひとつの描写に意味があります。
何気ない仕草すら伏線だと分かった時は、
感嘆のあまり本を閉じて、じっくりと余韻に浸りました。
少々大人向けな内容も……
本書には「大人向け」要素が含まれています。
ネタバレにならない程度に述べると、以下の3点です。
- 夫婦間のいざこざが多め
- ラブホテルというワードが頻出する
- 夜の営みの描写がある
私は、学生時代の読書で大人な描写があると、一人で恥ずかしくなり、
急いで読み進めた記憶があります(笑)。
そのため、「万人には勧めづらいな」と思います。
おわりに
本書を読んで感じたポイントを、星で評価してみました。
ミステリー度
文章の美しさ
総 合 評 価
星4の評価ではありますが、友人から「おすすめの本を貸して」と頼まれたら、
真っ先に候補に上がる一冊です。
あくまで「学生やすべての読者に無条件でおすすめするのは難しい」
という観点での評価ですので、
「我は大人である」という方はぜひ手に取ってみてください!